面の輪郭度と平面度は何が違うの?
製図を実施するにあたり幾何公差の記述に迷うことは少なくないのではないでしょうか?
今回は違いがややこしい面の輪郭度と平面度の違いを説明します。
目次 <Table of Contents>
面の輪郭度(Profile of a surface)とは
曲面がデザインした通りにできているのかを指定するもの。公差域は直径tの各球の二つの包絡線によって規制され、それらの球の中心は理論的に正確な幾何学形状をもつ線上に位置する。データム指示は必要であり、姿勢公差の一種である。
面の平面度(Flatness of a surface)とは
どれくらい正確に平らな面であるべきかという『表面の凹凸』を指定するもの。公差域は距離tだけ離れた平行二平面によって規制される。データム指示は不要であり、形状公差の一種である。
面の輪郭度と平面度の使い分けとは
実際に図面に記述したりするときに違いがわかっていてもどちらを使用すればよいのか迷ってしまうのではないでしょうか?結論から述べてしまうと同じ範囲を指定する場合は面の輪郭度を指示すれば平面度は不要になります。その理由は幾何公差には相互関係が存在しているということです。
上記の指示された面の輪郭度を示す範囲を図示してみます。
上面の高さ位置を表す面の輪郭度0.05を守るにはデータムAに対する平行度と平面度のどちらも0.05以下でないと面の輪郭度の領域には存在しません。つまり指示範囲が同じ場合は幾何公差に相互関係が存在します。
姿勢公差を指示することは関連する形状公差を含み、位置公差を指示することは関連する姿勢公差と形状公差を含むことになります。
上記のように範囲指定をより小さく指示することで厳しく指示することも可能です。しかし、細かく厳格に指示することは検査工程を複雑にしてしまい製造コストを上げてしまう恐れもありますので図面指示するときは熟考するようにしましょう。
まとめ
幾何公差は多様な表現が可能であると同様に細かな指示をすることも可能です。言い出したら、きりがないものになってしまいます。使いこなすポイントはある程度常識の範囲内で加工によるカタチの崩れを想像し、『いかに単純に幾何公差を指示する』に尽きると思います。良い図面とは見るだけで設計者の意図を表現し、品質を確保できる寸法、公差が記述されていることですが実際はDR(Design Review)を通して、後工程の方々と作り上げていくものだと思います。